AI研究ロードマップ紹介|体系的に学ぶ知性の第二起源

AI研究ロードマップ紹介|体系的に学ぶ知性の第二起源

更新日:2025年12月21日

AI技術を体系的に学べる「AI研究ロードマップ」を公開しています。機械学習の基礎から最新のLLM、アライメント問題まで12章構成で整理しました。調査・考察の過程で得た知見を共有しますので、参考になれば幸いです。
AI研究ロードマップ紹介|体系的に学ぶ知性の第二起源

1. 作成の背景と目的

AI技術は急速に発展しており、情報が断片的に散在している状況が続いています。機械学習の基礎理論から最新のTransformerアーキテクチャ、アライメント問題に至るまで、体系的に整理された日本語資料は限られています。そこで、自身の学習過程を整理する目的も兼ねて「AI研究ロードマップ」を作成しました。

本サイトのテーマは「知性の第二起源」です。40億年の生物進化を経て一度だけ生じた知性が、シリコンと電気信号によって再現されようとしている。その歴史的瞬間に立ち会っているという認識のもと、現時点で何が分かっていて何が分かっていないのかを整理しています。

対象読者
AI技術に興味を持つ初学者から、特定分野を深掘りしたい実務者まで幅広く対応しています。各章は独立して読めるよう設計されており、必要な部分から参照できます。

2. 12章の構成と内容

ロードマップは12章で構成され、基礎理論から応用、哲学的問題まで網羅しています。各章の概要を以下の表に示します。

タイトル 主な内容
1 機械学習の基礎 教師あり・教師なし・強化学習、NN理論と深層学習概観
2 計算論的学習理論 PAC学習、VC次元、統計的学習理論
3 知能の形式化 Kolmogorov複雑性、Solomonoff帰納、AIXI
4 NN理論 勾配降下法、Neural Tangent Kernel、良性過適合
5 アーキテクチャ RNN/LSTM、Transformer、MoE、State Space Models
6 LLM スケーリング則、創発的能力、In-Context Learning
7 訓練技術 最適化手法、分散訓練、LoRA等のPEFT
8 アライメント RLHF、Constitutional AI、機械的解釈可能性
9 評価 評価指標、ベンチマーク、その限界
10 マルチモーダル Vision-Language、拡散モデル、音声・動画
11 エージェント Tool Use、LLMエージェント、RAG
12 認知科学・哲学 認知科学との関係、意識の問題、ニューロシンボリックAI

第1章から第4章は理論的基盤を扱い、第5章から第7章は実装技術を解説しています。第8章以降は社会実装に向けた課題と、より広い文脈での考察を展開しています。特に第8章のアライメントは、AI安全性の観点から重要度が増している領域です。

AI発展の主要転換点
2012年:AlexNetがImageNetで圧勝(深層学習の有効性実証)
2017年:Transformer発表(Attention Is All You Need)
2020年:スケーリング則の発見(性能予測可能性)
2022年:ChatGPT公開(LLMの一般普及)
2024-25年:推論能力強化、エージェント能力向上

3. 活用方法と今後の展望

本ロードマップは、左側メニューから各章・節に直接アクセスできる構成となっています。ページ内検索機能も備えており、特定のキーワードを素早く探すことが可能です。

推奨する学習順序

  • 初学者:第1章「機械学習の基礎」から順に読み進める
  • 実務者:第5章「アーキテクチャ」または第6章「LLM」から関心領域を深掘り
  • 研究志向:第2-4章の理論章と第8章「アライメント」を重点的に

正直に言えば、このロードマップは数年後には大幅な書き換えが必要になるでしょう。AI分野の発展速度を考えれば、それは避けられません。しかし、今この時点で整理しておくことには意味があると考えています。次の問いを立てるには、まず現在地を知る必要があるからです。

不完全ではありますが、どこに未踏の領域があるのかを把握する手がかりになれば幸いです。サイトは随時更新しており、新しい研究成果や技術動向を反映していく予定です。

アクセスはこちらから:AI研究ロードマップ

参考・免責事項
本記事は2025年12月時点の情報に基づいています。AI技術は急速に発展しているため、最新情報は各章の参考文献や公式ドキュメントをご確認ください。