栄養塩循環

更新日:2025年1月3日

淀川流域における栄養塩循環と植物群集の関係を解説。窒素・リンの動態、植物による水質浄化機能を紹介する。

1. 窒素循環

窒素は植物の成長を制限する主要な栄養元素であり、その動態は生態系機能に大きく影響する。

1.1 窒素の形態と変換

形態 特徴 植物利用
硝酸態窒素 酸化的環境で優占 吸収可能
アンモニア態窒素 還元的環境で優占 吸収可能
有機態窒素 リター、腐植 分解後に利用
窒素ガス 大気中 窒素固定菌のみ

1.2 窒素循環プロセス

  • 窒素固定: マメ科植物・シアノバクテリアによる固定
  • 硝化: アンモニア→硝酸(好気的条件)
  • 脱窒: 硝酸→窒素ガス(嫌気的条件)
  • 同化: 植物・微生物による取り込み

2. リン循環

リンは生態系の生産性を制限することが多く、その供給が植生に大きく影響する。

2.1 リンの形態と可給性

形態 存在状態 可給性
溶存リン酸 水中 高い
有機態リン 生体・リター 分解後利用可
鉄・アルミ結合態 土壌粒子 低い

2.2 リン供給源

  • 自然供給: 岩石風化、落葉分解
  • 人為負荷: 生活排水、農業排水
  • 内部負荷: 底泥からの溶出

3. 富栄養化と植生

栄養塩の過剰供給は植生に大きな変化をもたらす。

3.1 富栄養化の影響

栄養段階 特徴 植生への影響
貧栄養 栄養塩少、透明度高 沈水植物優占
中栄養 適度な栄養塩 多様な水生植物
富栄養 栄養塩過剰 藻類優占、水草衰退
富栄養化と外来種
セイタカアワダチソウなど多くの外来種は高栄養環境で成長が促進される。富栄養化は外来種の優占を助長する。

4. 植生による水質浄化

河川敷の植生は水質浄化に重要な役割を果たす。

4.1 浄化メカニズム

プロセス 内容 関与する植生
植物吸収 栄養塩の取り込み ヨシ、ガマ
脱窒 根圏での窒素除去 抽水植物全般
沈殿促進 流速低下による堆積 密生群落
微生物分解 有機物の分解 根圏微生物

4.2 ヨシ原の浄化能力

ヨシ原1haあたり年間で窒素約100〜200kg、リン約10〜20kgを吸収・除去するとされる。

5. 栄養塩管理

植生を活用した栄養塩管理の方策を紹介する。

5.1 植生を活用した対策

管理手法

  • ヨシ原の保全: 水質浄化機能の維持
  • 刈り取り・搬出: 蓄積栄養塩の系外除去
  • 人工湿地: 浄化機能を持つ湿地の創出
  • 緩衝帯: 農地と水域の間に植生帯設置

5.2 流域管理の重要性

河川の栄養塩負荷は流域全体からの流入による。点源(下水)・面源(農地)双方の対策が必要である。

参考文献・免責事項
本コンテンツは2025年1月時点の科学的知見に基づいて作成されている。栄養塩動態は季節・水文条件により変動する。